荒牧まちかど探検(14)

荒牧町の古木

 新田公園の道を隔てた東側、養田弘さん宅の玄関前に根元の太さ1メートル弱・高さ5メートルほどの大きなケヤキの切り株がある。
 近づいてみると、かなり圧倒され一見の価値がある。
 少し細いもう一本の切り株が地面から除いている。 この二本のケヤキのおかげで同氏宅では、夏でもクーラーや扇風機はほとんど利用しないでも済んだそうである。
 大規模な区画整理の際、家の建物は取り壊し二本のケヤキも切り倒される話しがでたが、一本だけは根元から少し残すことになった。
 この大きな切り株を見るにつけ、改めてこの荒牧町を歩いてみると、太くて大きな古木のある家が殆ど見当らない。
 先輩方は上宿・下宿・新田東の各地区には,以前はもっと大きなケヤキや杉を見ることができたと語っている。
 現在では、養田さん宅の切り株がわずかに、かっての荒牧町の宿の名残を留めている、今後とも何とか残したいものである。
 また、国道東の山田光一さん宅の庭に、百年になろうかという立派なモッコクが育っている。しかし、このお宅も区画整理の際に、庭の植木を整理せざるを得なかったが、苦労して移植したとの話しである。
 その他にも年代ものの木があり、北側の駐車場の隅には古さを感じる柿の木が立っている。
 こうした古木を見ていると、何とも言われぬ時の流れと風格がただよってくる。 緑豊な古木、白壁の蔵は故郷の原点である。
 さて、こうした古木とともに荒牧町にも、殆どの家にあったのが竹薮とカシグネである。 今ではこの二つとも古木同様見当らない。
 竹は養蚕の道具を作り、カシグネと共に上州名物の空っ風を防ぐために、なくてはならなかった。 1メートル以上の幅と、20メートル以上の長さがある立派なカシグネも、珍しくはなかったと聞いている。
 区画整理が進み、多くの住宅が建ち並んでくると、大きな木からの周辺の家への大量の落葉の問題も難しい一面である。
 一方、桃ノ木川の東、日輪寺町を歩いてみると、以前のままの屋敷の中に、かなりの古木が散見され、荒牧町とは対照的である。


養田 弘さん宅のケヤキの切り株

山田光一さん宅のモッコク