荒牧まちかど探検(16)

荒牧町の道の守り神

 わが国においては古来から、つまり古事記や日本書紀の時代より、自分たちが住んでいる地域に悪霊などが入り込むのを防ぐために、道路の辻(つじ)、村境、峠などに、塞大神(さやのおおかみ)、道神といった守り神が奉祀(ほうし)されてきた。
 これは群馬県においても、道祖神あるいは塞(さえ)の神などとも言われて住民たちから信仰されており、この荒牧町のもこれらの風習は現在でも生きている。

 まず、身長より少し高い細い竹の先を割り、その裂目に「塞神三真璽」と書かれた御札を挿み、御幣(おんべい)・紙垂(しで)をかざった斎竹(いみだけ)といわれる守り神が、町内の 東・西・南・北の四つの町境の辻に見ることができる。この竹は、場所によっては八丁注連(はっちょうじめ)ともいわれ、赤城神社の宮司さんから7月と12月の大祓(おおばらい)の日に渡されている。

 東は、日輪寺町との境、桃ノ木川に架かる多嘉橋のたもとに立てられてある。
 西は、上毛大橋通り中野歯科医院とセブンイレブンとの境にある電柱につけられている。
 南は、広瀬川に架かる一本橋東沿いに、道を100メートルほど南に下がった所に立つ電柱につけられてある。
 また、北の斎竹は荒牧神社の北、ゴルフ練習場との丁字路の電柱につけられている。
 これら4つの斎竹は、中国伝来の四方を守る、玄武・白虎・朱雀・青竜といった、四神からの影響を受けているのかも知れない。

 次に、荒牧神社の境内に、道祖神と結びついたとされる庚申塔が、なんと104基も収められている。勿論これらは、神社移転や区画整理の際に集められたとのことであるが、これだけ多数の庚申塔が町内に存在していたとは驚きであり、先輩たちの篤い信仰の表れであろう。
 この中には、高さ1メートルもあり、銘文もはっきりと読み取れる立派なものもある。かっては道端や小さなお堂の中から、邪悪や疫病などを防ぐとされ、道行く人たちを見守ってきたに違いない。
 下宿の関口博さん宅の北側の塀には、薬師さまの慈愛ある石像が暖かく祀られると共に、お地蔵さまが、これまた道の守り神として十分にその存在感を示している。


東の守り)日輪寺との境、桃ノ木川に架かる多嘉橋のふもと

(西の守り)上毛大橋通り、中野歯科とセブンイレブン駐車場境の電柱

(南の守り)一本橋東側道路を南方面に100m程下がった電柱

(北の守り)ゴルフ練習場の南側道路にある電柱

(荒牧神社境内)旧村内の道路端に祀られていた道祖神(庚申塔)

下宿 関口博宅の北側の塀に祀られている薬師像